フリーペーパーAGE本誌に掲載されなかった秘蔵記事をここに公開!!
「名も無き詩 vol.0 ~客室乗務員への切符~」
空を飛び交う飛行機で、背筋を伸ばし、満面の笑みで対応してくれる客室乗務員。そんな職業に、女の子なら誰しも一度は憧れを抱いたことがあるのではないだろうか。
ここに、ずっと憧れ続けた客室乗務員への切符を手にした、一人の大学生がいる。齋藤麗奈、早稲田大学の4年生だ。アメフトサークルのマネージャーを務める傍ら、憧れの客室乗務員を目指して努力し、この春、内定という形で、客室乗務員への扉を開いたのだった。
大学に入学した当初は、高校時代からやっていたダンスを続けようと思っていた彼女。しかし、ひょんなことから、アメリカンフットボールサークルに入り、マネージャーを務めることになった。サークルと言っても、練習日は週に4日で、文字通り雨の日も風の日も練習がある。加盟している関東学生フットボールクラブ連盟では常勝チームとして位置しており、それゆえ部活のように厳しい面もあった。同期の選手やマネージャーには恵まれたが、常に主役にはならないマネージャーというポジションに物足りなさを感じていたのも事実だった。
「こんな泥まみれの選手たちのお世話ばっかりで4年間終わっていいのかなって。それに、選手のひたむきさを見ていると、自分も動きたい、ダンスがしたい、って思っちゃって。やっぱり辞めたいって思ったことは正直ありました。それでもサークルを辞めきれない“何か”があったんですよね。
その“何か”はたぶん、自分の小さな成長を感じられたり、感謝の言葉をかけてもらえるようになったり、同期の活躍や、何より、学年が上がるにつれて私はこのチームが好きなんだ、という想いだと思います。だからこのチームで4年間一生懸命やることを決めたんです。いま振り返ってみると、こんなに泥だらけになって人のために尽くすことはもうないのかな、大きい子たちに青春を捧げるのもいいかなって、っていう感じですかね」
そんな齋藤に、客室乗務員に惹かれた理由を聞いてみた。
「そんなに給料がいいわけでもないし、大変だし、不規則だし、って周りからさんざん言われたんですけど、でもそれ以上に強い憧れがあって。女性でも会社の顔として、会社の最前線で働ける職ということに惹かれたんですね。それに、いろんな人と出会えることとか、そういうもっと大きなものも得られるかなとか、ちょっとくさいけど、そんな感じも思って。あとはなんかホント単純に、“客室乗務員やってます”って胸張って言えるのがカッコイイっていうのがあったし、スカーフ巻いて制服を着こなす姿に働く女性のかっこよさを感じたんですよね」
ただの憧れで終わるのではなく、実際に客室乗務員として働きたい。そんな思いから、齋藤は週4日のサークルと、授業や教職、バイト、そしてエアラインのダブルスクールをこなしていった。また、通学中など地道に勉強しTOEICを3ヶ月で100点上げるなど、夢に向けての努力を怠らなかった。周囲が就職活動を始めて焦りもあったが、3年の12月まではマネージャーをやりきり、サークルがオフになってから、就活に集中したのだった。 客室乗務員への切符を手にした齋藤は振り返る、こう語る。
「将来のために何々やるわけじゃなくて、本当に自分がやりたいことや本当に興味があることを、目いっぱいやっとくべきかなってすごく思います。私も大学終わるなって振り返って考えると、好き勝手サークルやったり、バイトやったり、3年の終わりのほうは就活に追われたけど、まぁなんとかなったし。まぁ後々“自分はこういう仕事につきたいんだ!”っていう目標も多分大事だと思うんですけど、やっぱりそれだけのためじゃなくて、興味のあることにどんどん挑戦して、今の学生生活を楽しんでほしいと思います。」 そう言った顔には、後悔の欠片もない、満面の笑みが浮かんでいた。
text:Hiromi Okayama
