僕は今、バイトを終えてラーメンを食べ、帰宅した。
僕はいつものようにバイトあがりのおいしいラーメンを食べようと、ラーメン屋に入った。
「体に悪いよなー、完全に」 バイト仲間のMが言う。
そんなことはわかっていた。
しかし、深夜のバイトで疲れ果て、眠い目をこすりながら食べるラーメンは、何事にも代えがたい至福だったのである。
「でも世界一うまいからな。深夜のラーメン。」
しかし、たしかに週に何度も4時にラーメンを食べるのは・・・。
僕は気休めとばかりに、「脂少なめで!」と注文した。
出てきたラーメンは、実にうまそうだった。 確かに、うまかった。
だが、なにかが違った。いや、何かが足りなかった。
鼻に抜ける風に、いつもあるはずの芳香が感じられなかった。
そう、脂である。
千葉県の有名なラーメン屋さんの「なりたけ」の店内には、こんな標語が掲げてあった。
『月 + 旨 = 脂』
脂は旨い!そう伝えることで、自店のギトギトのラーメンが、いかに素晴らしいものであるか、お客さんにアピールするためのものである。
健康を考えて脂を少なめにするのは、旨さをあきらめることだったんだ。失敗した。
そう思いながら、ラーメンをすすりつつ、AGEのことを考えた。
脂って、AGEの活動みたいだ。
AGEの活動は時として、体に悪いのだった。
ある人は睡眠不足になった。
ある人はガリガリにやせ細った。
ある人は心労で胃痛を覚えた。
ある人は大学の単位を犠牲にした。
ある人は、太った。
だが彼らはAGEに賭けた。
その活動の果てに得られる、何にも代えがたい、何かのために。
そう、健康にを犠牲にして、「旨さ」を味わうために。
ラーメンを食べ終わった。
次にここにきた時、僕は勇気をもって、
「脂多め」を注文することができるのだろうか。